オフィス移転やレイアウト変更、内装工事を行う際にはコンセプトを決めることが重要です。コンセプトとはオフィスの目的やテーマのことを指し、どんな働き方を実現したいか、スタッフ・来客者・採用強化など誰のためのデザインかを明確にします。最終的には業績拡大に繋がらなければ意味がないということも忘れてはなりません。
コンセプトが決まればそれを元にレイアウトや内装デザインを決めていきます。コンセプトをしっかり決めることが理想のオフィスを創り上げることの第一歩ですので、どのようにコンセプトを決めるのか、理解を深めていただければと思います。
■目次
1.オフィスのコンセプトとは
1-1.来客向け(ブランド訴求=サービス・商品)
1-2.採用強化
1-3.社員向け
2.コンセプトに反映すべきもの
2-1.自社の理想の働き方
2-2.現在のオフィスの在り方をどう変えたいか
2-3.従業員の意見
3.ダメなコンセプトと内装(注意点)
3-1.単に居心地が良いデザイン
3-2.必要以上におしゃれなデザイン
4.コンセプトに応じたオフィスデザイン事例
5.まとめ
1.オフィスのコンセプトについて
冒頭でもお伝えしましたがオフィスのコンセプトは目的やテーマを指し、内装デザインだけでなく社員の働き方や来客者をはじめとする取引先への印象にも影響します。コンセプトには主に3つの目的があります。いずれにしても自社の経営課題を整理し、最終的に業績拡大につなげることを意識したオフィスを創ることを目標とします。
1-1.来客向け(ブランド訴求=サービス・商品)
自社のブランドや製品を全面的にアピールしたい場合は会社のロゴや製品の特徴を受付や会議室等、来客する方が見える場所に対して全面的にアピールする内装デザインが適しています。企業カラーなどをデザインに取り入れることも有効です。
1-2.採用強化
業績拡大に伴い採用を強化したい、もしくは離職率を低下させたい場合は休憩スペースを設けることや福利厚生を意識した内装デザインにすると良いです。壁紙や間仕切り等のデザインにこだわることでもオフィスの雰囲気をガラッと変えることができます。他にもオフィス内にグリーンや水槽などの自然の素材を取り入れるなど居心地の良い空間を演出すると効果的です。
1-3.社員向け
社員の生産性やモチベーションアップを重視するのであればワークスペースを中心に、コミュニケーションが取りやすいレイアウトにし、オフィス家具に拘ることも重要になります。内装工事を始める前に現状のオフィスに不満な点や取り入れたいアイデアをヒアリングすると良いかと思います。
2.コンセプトに反映すべきもの
2-1.自社の理想の働き方
コンセプトを最終的には業績拡大につなげるには自社の理想の働き方を考える必要があります。例えば、自由な発想を生むことが目的であれば社員がリラックスできる雰囲気や遊び心のある空間をつくることが重要です。活発なコミュニケーションを図ることが目的であれば、ポップな色合いを内装に取り入れ打合せスペースや会議室を多く設置します。
2-2.現在のオフィスの在り方をどう変えたいか
現状のオフィスの状況と経営課題を考えると新しいオフィスのコンセプトが決めやすくなります。例えば、職場の雰囲気が暗いのであれば明るい雰囲気の内装にし、異なる部署間の意見交換が少ない等があれば打合せスペースや、席のレイアウトについて考えてみると良いかもしれません。
2-3.従業員の意見
従業員全員の意見は反映することはできませんがアンケート形式などで耳を傾けることでオフィスを全員で作り上げた意識が芽生え、会社への帰属意識も高まります。普段働いているスタッフの意見から現状のオフィスの課題も明確になることもあります。社員のモチベーションは業績拡大に繋がるので是非参考してほしいと思います。
3.ダメなコンセプトと内装(注意点)
コンセプトを考える上で重要なポイントがある一方で注意点もあります。
3-1.単に居心地が良いデザイン
アットホームの雰囲気を意識することは大切ですがスタッフの生産性が下がってしまうようでは意味がありません。過度に座り心地のオフィス家具等も本当に必要か考えて選ぶようにしましょう。
3-2.必要以上におしゃれなデザイン
色合いやデザインを工夫することはスタッフのモチベーションアップに繋がりますが、カラフル過ぎたり、おしゃれ過ぎても内装が気になって集中力を維持できなかったりする場合があります。あくまで仕事をする場であることを意識することが重要です。
4.コンセプトに応じたオフィスデザイン事例
1)フリーアドレス型レイアウト
固定の席ではなく毎日自由な席で仕事ができるフリーアドレス制を取り入れる企業が増えています。他部署間のコミュニケーション活性化を促し、毎日違った景色を見て仕事をすることで斬新な発想が生まれやすくなると期待されています。また、場所に捕らわれない働き方が定着するためテレワークを促進したい企業の間でも導入事例が増えています。
2)可動式オフィス家具の導入
人が同じ姿勢で集中力を維持できるのは平均90分と言われています。可動式のオフィス家具を取り入れることで座る姿勢を変えたり、立って仕事をしたりすることができるので長時間集中力を維持できます。全社員への導入は厳しいかもしれませんが、オフィスワークの多い社員に導入してみるのは良いかもしれません。ここ最近では健康のため椅子の代わりにバランスボールを取り入れる企業も出てきています。
3)クリエイティブな空間の演出
斬新な発想やアイデアが生まれることを期待したい場合は会議室や打合せスペースのデザインを工夫するのが効果的です。アート作品が配置された刺激のある空間や、観葉植物が置かれた自然のパワーを感じる空間は、殺風景な場所よりもクリエイティブな思考を活性化させてくれます。
4)対面のデスクを配置し、グループワークの活性化
コミュニケーションの活性化を課題としている場合は、対面のデスクの配置し、ディスカッションがしやすい空間作りが効果的です。彩り豊かな内装はリラックスして発言しやすい場を生み出す点において効果的です。
5) 色彩豊かなオフィス家具や内装にすることで明るい雰囲気づくり
白やグレーを基調としたモノトーンな色合いより、赤やオレンジ、水色や黄緑色を机や椅子のワンポイントとして取り入れるだけでもオフィス全体の印象がガラッと変わります。職場全体の雰囲気を明るくしたい場合は試してみてください。
6) リフレッシュエリアやランチスペースを設ける
自席や外以外にも食事や休憩できるスペースがあると居心地が良くなり、他部署間のコミュニケーションも活発になります。お菓子の自動販売機やコーヒーマシン等を設置するのも良いかと思います。最近では雑誌や漫画を休憩スペースに置く会社も増えているようです。
5.まとめ
コンセプトを決める目的として①来客向け②採用強化③社員向けの3つを述べましたが、どれか1つにコンセプトを絞るのではなく複数または全てを重視することが理想と言えます。従業員のモチベーションが上がれば生産性向上と離職率の低下に繋がります。また、自社の社員が生き生きとしていれば第三者からも明るい雰囲気が伝わり、新規の採用や取引先へのアピールにもなり得ます。勿論実際には内装工事の予算等を考慮しながらデザインに力を入れるところは絞っていく必要があるかと思います。
あくまで理想の働き方や業績拡大を意識したコンセプトにすることを目的とし、必要以上にデザイン性に拘らず、会社として理想の空間を実現できるようにしてほしいと思います。