内装工事の見積書!細かい項目についてプロが解説!

専門用語が多く記載されている内装工事の見積は、店舗を複数出店されている方でも普段見積内容を細かく見ない方にとってはパッと理解しづらいことがほとんどです。見積書の項目を理解することは業者に金額交渉しやすくなることに加え、工事の抜け漏れを防ぐことに繋がります。
ここで紹介する用語は必ずしも知っておく必要はありませんが、知っておくと見積書の内容をより理解できるようになることは間違いありません。是非見積書の項目の内容を理解することで、内装工事をスムーズに進められるようにしていただければと思います。

■目次
1.工事全般及び建物に関する用語
2.内装仕上げ工事に関する用語
3.電気工事に関する用語
4.空調工事に関する用語
5.水道工事に関する用語
6.防災工事に関する用語
7.まとめ

1.工事全般及び建物に関する用語


・養生(ようじょう):建物内の壁や床が傷つかないよう工事前にプラスチックの板を張ることを指します。
・揚重(ようじゅう):トラックなどで工事現場の搬入口にまで運搬されてきた建築資材を、店舗や工事現場となる部屋に必要な数量に振り分け運び入れることです。
・墨出し:使用する木材や工事現場の壁や床、天井などに、作業をするための水平位置や中心位置を目印として記すことで、工事の序盤で行います。
・副資材:部品や材料以外の、製造の過程で必要になるが製品にはならないものを指します。工事で使用する工具や金具などがあります。
・巾木:床と壁の境目に取り付けて、納まりを綺麗に見せるための部材
・廻縁:壁と天井の取り合い部に用いられる見切部材。巾木の天井版とも言えます。木造建築に使う木材は湿気や気温の変化で骨組みが動くことがあり、すき間ができやすくなりますが廻縁をつけることで隙間の発生を防ぎます。
・スラブ:鉄筋コンクリート造の建築物における床の荷重を支える構造床のことです。壁や天井の梁と一体化してつくられ、内部に碁盤の目状に入れられた鉄筋により強度を確保します。
・冊子:窓用建具などの線状部材で、鋼製やアルミ製の窓枠のみの部分を指します。
・スイング扉:飲食店などで厨房と客席を分ける低い扉のことを指します。
・プラスターボード:石膏を主成分とした素材を板状にしたもので、石膏ボードとも呼ばれます。丈夫でありつつも断熱・遮音性が高く、主に天井や壁を造る際には使用されます。
・スタイロ:発泡スチロールと同じ材質から作られたより断熱性の高い素材で壁と壁の間に組みこむことで建物内の断熱効果を高めます。発泡ポリスチレンとも呼ばれます。間仕切りや壁を作る際に登場します。
・モルタル:セメント、砂、水の3つを混ぜたもので、コンクリートの表面の仕上げやブロック及びレンガの目地の仕上げに使用します。内装工事では主に飲食店の厨房を作る際にブロックで床上げする際に使用します。

2.内装仕上げ工事に関する用語


・SUS:ステンレス鋼(ステンレス)のことです。JISの材料記号でステンレスをSUSと表されるため、内装工事の見積でもステンレスがSUSと表記されることがほとんどです。錆びにくい素材のため冷蔵庫やコールドテーブルなどの厨房機器や厨房の壁に使用されることが多いです。
・メラミン:傷や汚れ、熱に強い特性をもつプラスチックの板版で、メラミン化粧板とも呼ばれます。キッチンや洗面所、家具、建具の表面材として主に使われます。つやつやした高級感が出せるのも特徴です。
・ポリ板:合板素材にポリエステル樹脂を接着させた木製も板を指します。木製の家具に広く使われ、メラミンより表面強度は劣りますが安価でコスパに優れています。
・ケイカル:熱や湿気に強い張り板でケイカル版やキッチンパネルとも呼ばれます。厨房やトイレの壁に使用されることが多く、飲食店では防災の都合上、熱機器の裏はケイカル等の不燃材を使用することが義務付けられています。
・クッションフロア:内部に発砲塩化ビニルが含まれることでクッションが高められた床素材で、CFシートとも呼ばれます。防水性があるためトイレや洗面の脱衣所で使用されることが多いです。
・塩ビタイル:耐久性に優れ、傷がつきにくく窪みも生じにくい素材のため店舗の床に使用されることが多いです。
・長尺シート:摩耗の耐久性に優れ、店舗やマンションの共用部分に使用される床材です。糸が網状に貼られたものや木目のもの、石目調のものなど豊富な種類が用意されています。
・ダイノックシート:壁やドアに貼る化粧フィルムの一種で、木などを再現した木目調のものが多くあります。
・石材:御影石や大理石を代表とする石を使用した床材で、通常の床材より値段は高くなりますが高級感を演出できます

3.電気工事に関する用語

1)点検口:天井や床下などの配線や配管を見るための入り口です。漏水や建物の傷み具合を定期的に点検するために必要で、スケルトンから工事する場合は点検口を設置します。
2)動力:通常の電力が照明や家電など小さな電気を必要とされる機器に利用されるのに対し、より大きな電力が必要な機会に利用される電気のことです。飲食店などでは食器洗い洗浄器や一定の規模以上の業務用冷蔵庫などには動力が必要となります。
3)幹線:建物内の電気の大元となる電気室やキュービクルの配電盤から、家電や厨房機器など各電化製品へ電気供給を行う分電盤への配線経路です。店舗で使用する電気容量が建物内に供給されている電気容量より大きい場合は幹線の工事を行います。
4)分電盤:幹線から各テナントに送られる電気を、各電化製品に供給するために電気を分岐させる装置です。
5)動力盤:動力を各電化製品に供給する装置で、分電盤の動力盤と捉えていただければと思います。動力盤でも電力を共有する場合もあり、建物内で分電盤と動力盤が分かれていない場合もあります。
6)ブレーカー:電気を使用している際に異常な電流が流れたり、一定以上の電気が流れたりした場合に電気の供給を止める装置です。
7)インバーター:直流を交流に変換する装置のことです。インバーターを設置して電気を交流にすることで消費電力を約半分に抑えられます。

4.空調工事に関する用語


1)天カセ:天井カセット型エアコンの略で、天井に埋め込まれる形のエアコンです。フィルター、吸い込み口、吹き出し口が一体となっています。
2)ビルトイン:建築段階から壁面などに組み込んであるエアコンです。通常の取り付け型のエアコンより室内への出っ張りが少ない点が特徴です。
3)フード:厨房の熱機器の上部に設置される換気扇に被さるように設置された覆いのことで、レンジフードとも呼ばれます。換気扇がフードで覆われることにより、調理時に出る蒸気や匂いが誘導されやすくなり効率的に排煙できる仕組みになります。
4)ファン:換気、通風に使用する回転する羽根車のようなものです。建物内の空気を外に送りこむために設置します。
5)ドレン:エアコンが空気を冷やす際の熱交換機に付着した水滴です。ドレンをエアコンの外に排水するホースをドレン管と言います。
6)室外機:エアコン(室内機)とセットで設置されるもので部屋の中にある熱を外へ出す役割を担っています。ベランダや1階部分の外、屋上などに設置されます。
7)冷媒管:空調の室内機と室外機をつなぐパイプで、冷媒配管や空調配管とも呼ばれます。
8)グリスフィルター:通常のフィルターより油の除去率が高く、ダクトの内部を清潔に保つために厨房の換気扇に設置されます。
9)ベントキャップ:外壁に設置する給気・排気の開口部に取り付ける蓋で、雨水や虫の侵入を防ぎます。形状は丸型のがらり形式となっているものがほとんどです。
10)コア抜き:ダイヤモンドカッターなどの工具を使用し、コンクリートに穴を空けることを指します。主に給排気工事で建物内から外へ換気する際に行います。

5.水道工事に関する用語


1)グリストラップ:飲食店の厨房に設置する設備で、厨房から流れた油や残飯などが下水動に流れないように役割があります。放置しておくと配管のつまりや匂いの原因になるため、定期的に清掃する必要があります。
2)高圧洗浄:外壁や屋根の塗装された部分に対し、取れにくい汚れやカビを専用の機器を使用して洗い流すことを指します。飲食店ではグリストラップに油汚れは付着することも多く、高圧洗浄が必要なケースも出てきます。
3)グレーチング:主に飲食店の厨房に設けられる側溝の蓋として使用する格子状のふたです。厨房の床掃除で水を排水するために使用します。素材は主に鉄となっています。

6.防災工事に関する用語


1)自火報:自動火災報知器の略で、火災が起きた際に煙を感知して警報を鳴らす装置です。1㎡以上の個室には1つ以上の自火報が必要になるため、個室を多くするほど自火報の設置も必要になります。
2)誘導灯:非常口を知らせる緑色の蛍光灯のことです。
3)総合盤:ビルや学校、商業施設などで見られるボタン押すと警報がなる装置です。内装工事でもビルによっては設置が必要になります。
4)トマホーク:厨房のダクト部分に取り付ける小型のスプリンクラーです。火災が起きた際の防災設備として必要になります。

7.まとめ


建物の構造や設備に関する用語に関しては居抜き工事の見積ではあまり見られないかもしれません。ですが、今回ご紹介した用語を理解していただくとスケルトンの内装工事をする際に業者との打合せをスムーズに進められます。スケルトンからの内装工事は居抜きと比較して工事金額も工期も長くなりますが、より自由な店舗造りができます。内装工事の見積項目の理解を深め、居抜きもスケルトンも検討しながら店舗の開業を進めてほしいと思います。