歯科は内科や整形外科など他のクリニックと比較すると少ない部屋数で開業することが可能です。歯科の数は年々増加しておりそれだけ需要があることは確かですが、他の歯科と違った特色を出し差別化を図ることが難しくなっていることも事実です。
ファミリー層や仕事帰りのサラリーマン、主婦をはじめとした女性向け等ターゲット層を決め、それぞれのターゲット層に見合う内装デザインにすることで他の歯科と差別化できます。また、虫歯治療専門や矯正専門など治療科目を分けることも有効な手段の1つと言えます。
差別化を図ることがリピーターを獲得することに繋がりますが、まずはどういう内装がサービスの質を高め、患者さんのためになるのか考えてみると良いと思います。内装工事において理解しておくべきポイントを解説いたします。
■目次
1. 内装工事の費用相場
2.内装工事のポイント
2-1.待合室はリラックスできる環境にする
2-2.トイレとは別に歯みがきができる洗面スペースを設ける
2-3.キッズスペースを設ける
2-4.診療室は個室にするかパーテーションで仕切りをつける
2-5.ターゲット層に合う内装を心掛ける
3.設備を充実させる
4.まとめ
1. 内装工事の費用相場
内装工事の費用は[坪あたり]で計算されることが多いので坪単価でご説明します。
歯科の内装工事の坪単価は居抜きかスケルトンかで変わります。居抜きで坪単価30~50万、スケルトンで坪単価60~80万が相場となります。専用の機器を多く取り揃える必要があるため、内科や眼科などのクリニックより坪単価が高くなる傾向にあります。
入居予定の物件の坪数に坪単価を掛ける事で、大体の予算を立てることができます。例えば20坪のクリニックをスケルトンで検討中の場合、坪単価を70万と仮定すると内装工事に掛かる目安費用は、
20坪×70万 = 1,400万円となります。
費用の相場は床や壁の材質のグレードを上げるなど、内装デザインにどこまでこだわるかで変わります。 また、店舗に必要な設備はある程度決まっているため、坪数が大きいほど坪単価は下がり坪数が小さいほど坪単価は上がります。上記の坪単価は20坪前後の広さを目安としています。検討されている物件の坪数が15坪以下もしくは25坪以上の場合は坪単価が変わることを認識していただければと思います。
2.内装工事のポイント
歯科の内装工事でのポイントを5つ紹介します。
2-1.待合室はリラックスできる環境にする
待合室は薄いオレンジや薄い茶色を取り入れた内装にしたり木目調を取り入れたりと、シンプルでありつつも温かみのあるアットホームな空間を意識すると長時間待つ場合でも患者さんを安心させることができます。また、厚めのソファを置きリラックスできるようにすることも効果的です。
2-2.トイレとは別に歯みがきができる洗面スペースを設ける
患者さんが外出先から歯科に直接行く場合、歯みがきをする場所がないことがあります。職場や駅のトイレは衛生面から避ける方が多いので、トイレとは別に歯磨きできる洗面スペースがあると安心して治療を受けられます。鏡や洗面台周りを綺麗に保ち使い捨てのコップを設置することで、患者さんへの配慮と歯科の清潔さをアピールできます。
2-3.キッズスペースを設ける
歯科は通常のクリニックより子どもの患者さんが来訪する機会が多いです。キッズスペースを設けて絵本やおもちゃを用意し子どもが遊べるようにすると緊張がほぐれ治療がしやすくなります。子どもの通院が楽になれば親も通院し始める可能性が高くなります。ファミリー層が多い地域では得に意識すると良いと思われます。
2-4.診療室は個室にするかパーテーションで仕切りをつける
歯科では広い空間に仕切りなしで複数の診察台が並ぶレイアウトも多いですが、治療している様子が他の患者に見られることを不快に感じる方も多くいらっしゃいます。患者のプライバシーを考慮し個室にするかパーテーションをつけることが望ましいです。
2-5.立地と客層を考慮した内装を心掛ける
歯科に通う方は性別も年代も年代も様々ですが、住宅街なら高齢者やファミリー層が多かったり駅前なら会社帰りのサラリーマンやOLが多かったりと場所によって特色があります。例えば、大理石を使用した内装は高級感があり女性には好まれるものの子どもや男性には敬遠される傾向にあります。歯科に苦手意識を持つ方や子どもには、歯科っぽくない薄い茶色や黄緑色などの内装が好まれる傾向にあります。一方で、年配の方には白を基調としたシンプルな内装の方が安心してもらえるかもしれません。立地や周辺施設、近隣住民に多い層などを調べてから内装デザインを考えることが重要です。
3.設備を充実させる
診察台付近に電子モニターを設置しカルテや口内の映像を映して説明をしながら診療することで、より丁寧で分かりやすい治療が可能になります。子どもには治療前や治療の合間にDVDを見せることができ、恐怖感を取り除くのにも役立ちます。
設備を充実させることで他の歯科と差別化を図ることができますので、予算があれば検討してみるのも良いと思います。
4. まとめ
駅前を中心に多くの歯科が立ち並ぶようになった昨今、サービスの質だけでは他の歯科との差別化が難しくなっているのが現状です。ただ、待合室の内装に個性を持たせたりキッズスペースを設けたりといった少しの工夫で差別化を図ることは十分可能です。差別化というと大袈裟に聞こえてしまうかもしれませんが、患者さん目線に立って患者さんが喜ぶ工夫を内装に取り入れれば自然と他の歯科と差別化することができます。
もちろん一番大事なのは歯科医師さんの腕であることは間違いありませんが是非少しの工夫を心掛けて他の歯科と色合いの違う、多くのリピーターを獲得できる歯科の開業を目指してください。