飲食店のスケルトンからの内装工事の期間はどれぐらいかかる?

飲食店のスケルトンからの内装工事の期間はどれぐらいかかる?

飲食店の開業にあたり内装工事の工期を把握し、開業までのスケジュールを逆算して考える必要があります。一言で内装工事といっても店舗物件の状態が居抜きかスケルトンかにより内装工事の内容と工期、費用が大きく異なります。それぞれの内装工事に掛かる期間を考慮してスケジュールを調整していく必要があります。
この記事ではスケルトンの内装工事にどれくらいの期間がかかるのかを中心に解説します。居抜き物件の内装工事の工期の詳細は別記事で紹介していますので、参考にしていただければと思います。

■目次
1.内装工事の工期とスケジュール
 1-1.内装工事の工期の目安
 1-2.店舗デザインは事前に考えておく
 1-3.厨房機器は早めに決める
2.内装工事項目の内容紹介
 2-1.厨房区画の工事
 2-2.客席の工事
3.まとめ

1.工期とスケジュール


1-1.内装工事の工期の目安


30坪のスケルトン物件を内装工事する場合の内装工事の目安工期として1ヵ月~1ヵ月半かかります。尚、同じく30坪の居抜き工事で厨房そのまま使用して客席のスペースのみの内装変更だった場合は二週間~一か月が目安となります。
以上のことからスケルトンの店舗を開業する場合、店舗物件の契約日から起算して一ヵ月半から二ヵ月後を開業日とし、内装工事の工程を立てていくことになります。注意点としては店舗物件の契約前に内装会社に見積を依頼しても内装工事費用の概算でしか貰えない場合や、物件自体が変更になる可能性があることから見積を貰えない場合もあります。内装会社への見積依頼は店舗物件が決まってから行うようにしましょう。

1-2.内装デザインは事前に考えておく


内装デザインが明確に決まっていれば先ほどの内装工事の工期だけで開業までのスケジュールを立てられますが、内装デザインから業者に相談する場合は業者との打合せや内装デザインの選定にも時間がかかります。目安として一週間ほど余裕を持たせておいてください。理想としては物件を契約する前の段階で内装デザインの方向性を決めておいてください。
内装デザインを全て業者に依頼することも可能ですが、内装デザイン完成後に「やっぱりあれをこうしたい」、「ここの部材を変更したい」などの仕様変更や追加の内装工事が生じやすくなります。そうなると工期が伸びることは勿論ですが、追加の内装工事費用が掛かります。打合せ前にコンセプトやイメージを準備しておく方が内装工事開始前に仕様をガチっと固めることができ、店舗完成後に愛着が沸くメリットもあります。完成イメージの店舗の写真や内装デザインの中で特にこだわりたいポイントは先に決めておきましょう。

1-3.厨房機器は早めに決める


また、使用する厨房器具は早い段階で決めておくと内装工事がスムーズになります。店舗物件が決まれば早い段階で使用する厨房器具のスペックを決めるよう心掛けてください。厨房機器の数やスペックによって必要なガスと電気の容量が決まり、建物に引き込まれている容量が足りない場合は設備工事が必要になるためです。

2.内装工事項目の内容紹介


飲食店をスケルトンから造る場合、厨房区画の内装工事と客席の内装工事で内容が大きく二つに分かれます。内装工事の工期とスケジュールを決める上で内装工事内容を把握しておくことでイメージがつきやすくなるので是非押さえてください。

2-1.厨房区画の工事

1)厨房の床下周りの内装工事

飲食店の床はホールの床よりも高さがあること見たことがあるかと思います。シンクや厨房機器を設置するため、ガスや給排水の配管を床下から通しておく必要があるため飲食店の厨房は客席の床よりも高くなります。厨房の内装工事の流れとしては土間を打設する前に各配管を床に突きあがるように準備しておきます。

①ブロック積:コンクリートブロックを積んで厨房の床下用の段差を作る
②左官工事:コンクリートブロックにモルタルなどの塗料を塗り防水加工する
③給排水工事:シンクやトイレの水が流れる配管を設置し、床の上に突き出しておく
④ガス配管工事:フライヤーやガスコンロ等のガスを使用する熱機器に接続するガス管を突き出しておく
⑤土間打設:厨房床にコンクリートの土間を流し込み、床を固める
⑥防水工事:厨房床と床から100センチを目安に防水加工する

2)その他の工事

①空調工事:店内のエアコンと室外機の設置、エアコンから室外機まで冷媒管と呼ばれる管を通す
②換気工事:厨房や店内に換気扇を設置し、天井裏のダクトを配置し屋外に排気する
④厨房機器の搬入:購入した機器を店舗に搬入します
⑤ガス配管の結び:厨房機器にガス管を結びます
⑥電気と厨房機器の接続:動力と呼ばれる大きい電力を使用する厨房器具は電気を直結させます。その他の機器はコンセントから電気を繋ぎます

2-2.客席の工事

①仮設工事:工事を始める前の準備作業と工事中に必要な設備を設置する工事です。養生(仕上がった面に傷をつけないために保護する事)や、仮設電気・仮設水道の設置などが該当します


②軽天工事:軽天は軽い鉄で出来た棒状の材料で天井や壁の骨組みになります。軽鉄や軽量鉄骨下地、LGSとも呼ばれ、壁や間仕切りを作る際の土台になります。


③GL工事:コンクリート壁に対して特殊なボンドを塗り、壁の下地となるボードを貼り付けます。


④電気配線:照明やスイッチ、コンセントの設置をはじめ、換気扇やエアコンへの電源配線、ブレーカーの設置などの工事が該当します。その他、スピーカーの設置やパソコンに接続するLAN配線等も含まれます。軽天で壁や天井の下地を作り、ボードで閉じる前に行います


⑤壁、天井のボード貼り:軽天で作った骨組みにボードを張って壁を作ります


⑥建具造作:入口やトイレ、スタッフルームなどに扉を設置する工事です。建具には木製やメラミンと呼ばれる樹脂板製、アルミ製、鉄製、ガラスなど様々な種類があります。


⑦間仕切り壁設置:通路や個室などの壁を作成します。やり方は天井や壁などを軽天で作る方法と基本的に同じです。


⑧家具造作:テーブルや椅子、ソファなどを制作し設置します。既製品のものを使用すれば安く済みますが、既製品のサイズが店舗のスペースに合わない場合やオリジナルの家具で店の雰囲気を演出したい場合には必要となる工事です


⑨カウンター造作:主に木材を使用してカウンターを作ります


⑩内装仕上工事:天井や壁のクロス貼り、床のシートまたはタイル貼り、仕上げ木板張りなどの工事です。その他、インテリア工事やカーテン取付工事なども含みます。


⑪サイン工事:入口の外看板やロゴ、メニュー等を作成します。

3.まとめ


スケルトンからの内装工事は電気・ガス・空調設備などを全て一から設置するため内装工事費用は高くなりますが、より自由度が高いお店作りが可能になるというメリットがあります。
30坪の店舗の場合は内装工事のみで1ヵ月~1ヵ月半かかることを念頭に置きスケジュールを立ててください。内装工事について知れば知るほど内装業者と二人三脚で工事を進められるようになり、ご自身のこだわりも内装に反映させやすくなります。業者との打合せは納得のいくまで行い理想の店舗を開業できるようにしてください。