店舗内装の工事費用は?予算は?お答えします。

店舗内装の工事費用は?予算は?お答えします

「憧れの店舗を開業したい!」と思う方にとって内装工事の費用がいくらになるかは気になるポイントかと思います。内装工事の費用は施工する内装業者によって様々ですが、あまり費用を掛けすぎると費用対効果が悪くなり店舗経営を黒字にするまでの期間が長くなります。開業当初は予算の範囲内で工事費を抑え、早い段階で黒字化させることを目標にすると良いと思います。また、工事費用の相場を知ることで内装業者と対等に話をすることができ、価格交渉もしやすくなります。

費用の相場以外にも工事内容や工事開始後の注意点を知っておくと業者と打合せしやすくなり、店舗開業までスムーズに工事を進めることができます。内装工事を予算の範囲内の金額で進め、段取り良く店舗を開業するためのポイントを解説します。

■目次

1.内装工事費用の相場
 1-1.内装工事費用の坪単価を用いて予算を立てる方法
 1-2.内装デザイン費用
2.各内装工事の費用
 2-1.仮設工事の費用
 2-2.軽天、ボード工事の費用
 2-3. 防水工事の費用
 2-4.左官工事の費用
 2-5.木工事の費用
 2-6. 塗装工事の費用
 2-7.内装仕上工事の費用
 2-8.建具造作工事の費用
 2-9. 家具造作工事の費用
 2-10. 電気工事の費用
 2-11.ガス工事の費用
 2-12.給排水工事の費用
 2-13. 給排気工事の費用
 2-14.防災工事の費用
 2-15.クリーニングの費用
3.内装工事の進め方
 3-1.内装工事開始から終了まで
 3-2.内装工事終了後
4.まとめ

1.内装工事費用の相場


内装工事の費用はおおよそ1,000万円前後と言われています。勿論広さによって金額は変わります。より正確に費用の相場を把握するために内装工事の費用は一坪あたりで計算されることが一般的です。(1坪は約3.3㎡になります)

1-1.内装工事費用の坪単価を用いて予算を立てる方法


内装工事の坪単価の相場は30~50万円と言われています。開業予定の物件の坪数に坪単価を掛ける事で大体の予算を立てることができます。例えば35坪の店舗を検討中の場合、坪単価を40万と仮定すると内装工事に掛かる目安費用は、
35坪×40万 = 1400万円となります。

上記の目安費用はあくまで凡その予算になりますが、内装業者に見積もりを出してもらう上で重要になります。ある程度の予算を把握しておくことで悪徳業者に異常な工事費用を請求されたときに気付くことができます。

また、見積を依頼するときは複数業者に依頼するようにしましょう。そうすることにより、正確な内装工事費用の相場感を把握することができます。そのうえで、予算と照らし合わせて内装業者と相談して店舗内装を考えましょう。

1-2.内装デザイン費用


内装工事の他、内装デザインを業者に依頼する場合は工事費と別途で100~200万円ほどかかります。その場合、業者選びには内装デザインと内装工事をそれぞれ別の業者に分けて依頼する方法と内装デザインから内装工事まで一括で対応できる業者に依頼する方法の2パターンがあります。

前者の場合、トータルの金額が安く済むことが多いですがデザイン会社と工事会社の中間に立って打合せを進めていくことになります。内装工事の流れを理解し業者との打合せに慣れていないと予期せぬトラブルが発生するリスクが高くなります。

後者の場合、打ち合わせをする会社が1社で済むため時間をかけずに工事を進め、且つ工事内容の認識のズレを防ぐことができます。また、デザインと内装工事を一括で行う会社は自社のデザイナーと職人で数多くの内装工事をこなしているため、内装デザインをより正確に店舗の内装に反映させることができます。費用をどうしても抑えたいという場合以外は、内装デザインから内装工事まで一括で対応できる会社に依頼するのがおすすめです。

2.各内装工事の費用


内装工事をする上で工事内容を理解することは非常に重要です。業者から貰う見積の項目は専門用語で書かれていることが多く、項目の内容を知らないと合計金額でしか高いか安いかの判断ができません。工事内容を知ることでどの項目にいくらかかるかイメージしやすくなり、複数社から見積を貰う際に項目ごとに価格交渉することも可能になります。また、工事内容を知っていると業者との打合せがスムーズになり、工事に関するトラブルの発生も防ぐことができます。

2-1.仮設工事の費用


工事を始める前の準備作業と工事中に必要な設備を設置する工事です。養生(仕上がった面に傷をつけないために保護する事)や、仮設電気・仮設水道の設置などが該当します。
20坪の広さでスケルトンを考えた場合、30万円前後が相場となります。

2-2.軽天、ボード工事の費用


天井や壁を作る工事になります。軽天は軽い鉄で出来た棒状の材料で天井や壁の骨組みになります。軽鉄や軽量鉄骨下地、LGSとも呼ばれます。ボードは軽天に貼る石膏ボードまたはプラスターボードなどを指します。スケルトンからの工事では勿論、居抜き工事の場合も店内の間仕切り壁を作る際には必要となる工事です。
設置する間仕切りや壁の面積で変わりますが、20坪の広さでスケルトンを想定すると100万円前後が相場となります。

2-3. 防水工事の費用


飲食店の厨房で階下に漏水しないように防水層を作る工事です。建物の2階以上への入居の場合は必須となりますが、1階の場合は物件のオーナーや管理会社の指示によります。防水層の設置の是非は業者から見積を貰う前に必要かどうか確認してください。
20坪の広さでスケルトンを考えた場合、120万円前後が相場となります。

2-4.左官工事の費用


最終的な表面仕上げの塗り工事全般を指します。コテを使用し、モルタルやプラスターなど水で練った材料で壁・床・天井を仕上げます。飲食店の内装工事では厨房の床をつくる工事も左官工事に含まれます。厨房の床下にはガスコンロやフライヤーなどの厨房機器用の配管を通すスペースが必要になるため、コンクリートブロックを積み上げ防水層から200㎜~300㎜上げて床を作ります。
1坪あたり3万前後、20坪の広さを想定すると60~80万円が相場となります。

2-5.木工事の費用


木材の加工や組立、取付を行う工事全般を指します。床を木組みで上げる置床やフローリング張り、木製のカウンターや棚板を作る工事などがあります。木材をどれだけ使用するかで金額が変わります。

2-6. 塗装工事の費用


液体の塗料を仕上げ材として石膏ボードやカウンターなどを塗装する工事を指します。作業工程としては下地処理を行った後に下塗りを施し、さまざまな塗料で上塗りをして仕上げます。外装は塗装で仕上げるのが一般的ですが、内装は塗装で仕上げる方法とクロスを張る方法があります。

2-7.内装仕上工事の費用


天井や壁のクロス貼り、床のシートまたはタイル貼り、仕上げ木板張りなどの工事です。その他、インテリア工事やカーテン取付工事なども含みます。内装デザインにどこまでこだわるか、良質な素材を使用するかどうかで金額は異なりますが、一般的な金額は1坪あたり3万円、20坪の広さを想定すると50~70万円が相場となります。

2-8.建具造作工事の費用


入口やトイレ、スタッフルームなどに扉を設置する工事です。建具には木製やメラミンと呼ばれる樹脂板製、アルミ製、鉄製、ガラスなど様々な種類があります。
木製の場合は1㎡あたり2万円程度、鋼製であれば1㎡あたり3万~5万円が相場です。ガラスの場合はものによって価格が大きく上がります。

2-9.家具造作工事の費用


テーブルや椅子、ソファなどを制作し設置します。既製品のものを使用すれば安く済みますが、既製品のサイズが店舗のスペースに合わない場合やオリジナルの家具で店の雰囲気を演出したい場合には必要となる工事です。

2-10. 電気工事の費用


照明やスイッチ、コンセントの設置をはじめ、換気扇やエアコンへの電源配線、ブレーカーの設置などの工事が該当します。その他、スピーカーの設置やパソコンに接続するLAN配線等も含まれます。居抜き工事の場合は建物に用意されている電気容量が設置する照明や機器に使用する電気容量を上回っているか確認が必要です。
20坪の広さでスケルトンを考えた場合、120万円前後が相場となります。

2-11.ガス工事の費用


厨房機器や給湯器へのガス配管と結び工事です。飲食店の居抜き工事の場合は、建物のガスの容量が設置する厨房機器に必要な容量を上回っているかチェックが必要です。
20坪の広さでスケルトンを考えた場合、80万円前後が相場となります。

2-12.給排水工事の費用


便器・手洗いの給排水の配管と設置や、厨房機器への給水・給湯・排水の配管などの工事になります。給湯器には強さを示す号数に様々な種類があるため、飲食店を開業する場合には厨房設備に適したものを選ぶ必要があります。
20坪の広さでスケルトンを考えた場合、100万円前後が相場となります。

2-13. 給排気工事の費用


換気工事と空調工事に分かれます。換気工事は厨房や店内の換気扇の設置や、天井裏のダクトを配置し屋外に排気する工事などがあります。空調工事は店内のエアコンと室外機の設置、エアコンから室外機まで冷媒管と呼ばれる管を通す工事などがあります。
20坪の広さでスケルトンを考えた場合、150~180万円が相場となります。

2-14.防災工事の費用


誘導灯、消火器、感知器の設置工事と、消防署への防災設備の申請が含まれます。飲食店の場合は店舗の図面が完成し設置する厨房機器が決まった後、工事開始前に防災上問題ないか消防署に申請します。
20坪の広さでスケルトンを考えた場合、40万~50万円が相場となります。

2-15.クリーニングの費用


全ての工事が完了した後に壁や床、天井に汚れがないよう清掃します。空調やダクトの清掃もクリーニングに含まれます。店舗全体をクリーニングした後、引き渡しとなります。
20坪の広さでは20万円前後が相場となります。

3.内装工事の開始後の注意点


業者を選定し工事内容とスケジュールが決まったら工事開始となりますが、工事開始となっても安心して業者任せにするのは良くありません。内装工事開始後の注意点を2つ解説します。

3-1.内装工事開始から終了まで


工事中は頻繁に行く必要はありませんが時々現場に行くようにしてください。内装工事は設計書通りに全て進むとは限らず、工事の流れの中で現場で工事内容を調整していくことも多くあります。現場に出ることを怠ってしまうと現場の判断で細かい仕様が決まることになります。そうなると工事終了後に「思っていたのと違う」という事態になり、納得できないまま開業日を迎えることになりかねません。現場に時々足を運び工事内容が意図しないものとなっていないか確認することで、このようなトラブルを防ぐことができます。

3-2.内装工事終了後


内装工事が終わったら検査に立ち会いその後引き渡しとなります。床や壁等に汚れや傷がないか、水道・ガス・電気等の設備面に不具合がないかなど、お店の営業に必要なもの全てに問題がないことを確認してください。引き渡し完了後に工事内容の指摘をすると、追加の金額を要求されたり言った言われていない等のトラブルになったりすることがあります。また、店舗の営業開始後に追加の工事が必要となれば、営業を一時停止することになりお店の売上に影響を与えてしまいます。残工事や追加工事がある場合はなるべく引き渡し前に業者に指摘し、後から問題が発生しないようにしてください。

4.まとめ

予算内の金額で理想とする店舗を作るには、事前に内装工事の相場を把握し工事内容についても理解を深めておくことが重要です。

内装業者によって見積の金額は変わりますが、交渉次第で減額することも可能です。内装工事の金額や工事内容は納得がいくまで内装業者と打ち合わせをし、トラブルなく理想とする店舗を開業できるようにしてください。