オフィス内装のレイアウトをどうする?内装工事の進め方

オフィスを移転する場合やレイアウトを変更する場合、内装工事をどのように仕上げるか、どのようなレイアウトとするかはイメージしづらいかもしれません。内装にもレイアウトにはこうするべきといった正解はなく企業の目的に応じて様々です。大事なのは事前に目的と内装工事後のオフィスのコンセプトをしっかりと決めておくことです。
オフィスにおける内装工事のポイントをご紹介しますので、理解を深めていただき貴社に合った内装を実現してほしいと思います。

■目次
1.工事完了までの流れ
 1-1.流れの全体像
 1-2.各工程の説明
2.オフィスレイアウトのポイントと注意点
 2-1.ゾーニングを最初に決める
 2-2.適切な間隔を設ける
 2-3.職種に向いた席の配置を心掛ける
 2-4.従業員の意見を取り入れる
3.まとめ

1.工事完了までの流れ


オフィスの内装工事完了までの流れは以下の6つのステップとなりますので、最初に全体像を掴んでほしいと思います。

1-1.流れの全体像
1)物件を決める
2)社内メンバーで内装のコンセプトと間取りを大まかに決める
3)内装会社へ見積依頼・相談
4)業者選定・契約
5)工事開始
6)完了・オフィス移転

1-2.各工程の説明
各段階のポイントを順番にご説明します。
1)物件を決める
駅近の物件であれば営業効率が上がり、夏場や冬場も快適に過ごすことができます。勿論その分家賃は高くなるので予算と費用対効果について検討する必要があります。物件の広さに関しては社員1人につき2㎡必要であると言われています。例えば社員が30人であればワークスペースだけで60㎡、実際には受付や会議室、廊下などに2倍近いスペースを要するため、社員×4㎡位の広さを目安に物件を探すと良いと思います。

2)社内メンバーで内装のコンセプトと間取りを大まかに決める
デザインもレイアウトも業者に提案してもらうことも可能ですが、オフィス全体のコンセプトや大まかな間取りは最低限決めておく方が業者との打ち合わせがスムーズに進み、工事完了後に愛着が沸きます。工事や移転の目的を明確にし、話し合ってほしいと思います。

3)内装会社へ見積依頼・相談
物件と内装デザインの全体像が決まったら内装業者を選定します。事前に予算を決めておくと実現できる内装デザインが明確になります。オフィスの工事実績の豊富な会社を中心に見積を依頼してください。

4)業者選定・契約
予算の範囲内で納得できる見積を貰ったら内装業者を選定します。オフィスのデザインや工事内容の詳細を詰めていきますので、こちらからの要望は余すところなく伝えるようにしましょう。実現したい内装デザインのイメージがあれば写真やネットで等で業者に見せると良いと思います。

5)工事開始
仕様が決まったら工事を開始します。工事開始前に工事金額を1/3を支払い、工事の中間時点でもう1/3の金額、工事完了後に残り1/3の金額を分割で支払うのが一般的です。
内装工事は全てが打合せで決めた設計書通りに進むとは限らず、工事の流れの中で細かい仕様が変わっていくことも多くあります。頻繁に行く必要はありませんが、時折現地に赴き意図していない工事内容になっていないか確認するようにしてください。

6)完了・オフィス移転
工事が完了したら引き渡しの際に仕上がりに問題がないか、座席に座ってみて気になる点がないか確認しましょう。引き渡し完了後に追加工事の依頼をすると費用を取られる可能性もあります。オフィスで仕事を進めるにあたり不備な点がないか入念に確認してください。

2.オフィスレイアウトのポイントと注意点


2-1.ゾーニングを最初に決める
ゾーニング計画とは必要な機能スペースを平面図上おおまかに位置取りすることを指します。オフィスレイアウトは大きく以下の5つに分かれます。それぞれの関連性を考えて間取りや大きさを決め、実現したいイメージを考えておく必要があります。例えば、給湯スペースと来客スペースは近くにすると接客がスムーズになります。
・エントランススペース
・ワークススペース
・会議室
・社長室、上長室
・リフレッシュエリア
来客が多い場合は受付な斬新な企業ロゴを飾り付けしたり、エントランススペースを広めに設けたりすると効果的です。社内でのコミュニケーションを活発にしたい場合は会議室を多めに設けること良いと思いますし、斬新なデザインを取り入れることでアイデアが浮かびやすくなるかもしれません。社長室や上長室は意向をヒアリングして設計することも大事ですが、ベンチャー企業などで敢えて他のスタッフと同じ場所で仕事をするようにすることで風通しを良くすることができます。リフレッシュエリアは福利厚生の一環として自販機やお菓子が買えるようにすると良いかと思います。

2-2.適切な間隔を設ける
オフィスはあくまで仕事をする場所なので社員が効率良く働けるよう適切な感覚を設けることがレイアウトを考える上で最も重要です。具体的には以下の3点に注意してください。
1)デスクとデスクを背あわせで配置する場合は1m80cmの幅を設ける
2)通路を挟んでデスクを横並びで配置する場合は1mの幅を設ける
3)デスクの後ろにキャビネットを配置する場合は1m70cmの幅を設ける
これらの数字はあくまで目安ですので実際にオフィス家具を配置してから適宜調整を行ってください。

2-3.職種に向いた席の配置を心掛ける
日本のオフィスでもっともよく見られる島型の配置は、対向式レイアウトとも呼ばれ、部署ごとにデスクを対向させてまとめるスタイルです。パーテーションで仕切る場合もありますが、1つのグループが向き合って業務を行うため、グループ内のコミュニケーションがとりやすいという特徴があります。対向式レイアウト以外にも幾つか種類があるのでご紹介します。それぞれの特徴を押さえ、スペースと相談しながら席のレイアウトを決めてほしいと思います。

1)同向式レイアウト
学校のように同一の方向に全てのデスクが向いているレイアウトです。銀行の窓口などでは全員がお客様に顔を向けられるよう同向式レイアウトが採用されています。社員同士が定期的に情報共有したり、プレゼンを頻繁に行ったりする場合には採用してみると良いかもしれません。

メリット
-部署全体への情報共有がしやすい
-スタッフを管理しやすい
デメリット
-コミュニケーションが取りづらい

2)ブース式レイアウト
1人あたりのデスクスペースを広く取り半個室のように仕切る形にしたレイアウトです。周囲からの干渉を防ぐため個人で集中して作業を行う必要のあるデザイナー、プログラマーなどの専門職の方に向いています。

メリット
-作業スペースが広い
-作業に集中できる
デメリット
-1人あたりのスペースを広く取る必要がある

3)背面対向式レイアウト
対向式レイアウトとは逆にデスク同士と向かい合わせではなく背中合わせで配置するレイアウトです。普段は集中力を保ちながら仕事し、相談等がある時は振り返ることで気軽にコミュニケーションが取れます。チーム内で密な連携が企画職などにおすすめしたいレイアウトです。

メリット
-作業に集中できる
-コミュニケーションが取りやすい
デメリット
-1人あたりのスペースを広く取る必要がある

4)卍型レイアウト
4台のデスクを卍型に繋げて配置するレイアウトです。人と人との距離は近いですがお互いの目線が合わないため、個人業務に集中しつつも気軽にコミュニケーションを取ることができます。4人以下の少数のチームでプロジェクトを回す時などに最適と言えます。

メリット
・個人業務に集中できる
・コミュニケーションが取りやすい
デメリット
・5人以上の部署等では活用が難しい

5)リンク式レイアウト
通常の長方形ではないコーナー型のテーブルを向かい合わせにし、テーブル全体の形を多角方面にしたレイアウトです。機能性を重視しながらオフィスらしくない斬新な雰囲気を演出できます。

メリット
・コミュニケーションが取りやすい
・斬新な雰囲気を演出できる
デメリット
・1人あたりのスペースを広く取る必要がある

2-4.従業員の意見を取り入れる
役員を始め一部の社員だけで内装デザインからレイアウトを全て決めるより、アンケート形式でも良いのでスタッフの意見も取り入れると工事完了後に全員でオフィスを作り上げた達成感が沸いてきます。オフィス完成後の仕事へのモチベーションにも関わるので、オフィスを作る上でスタッフの意見を内装デザイン及びレイアウトに取り入れることは大切です。スタッフの要望に耳を傾けることで内装デザインを考える上でのヒントが思いつくこともあるかと思います。

例えば、以下のような要望が上がるかもしれません。
・「休憩スペースに漫画や卓球台を置いてほしい」
・「ガラスのパーテーションを設置して解放感を演出したい」
・「木目調のデザインにしてアットホームな雰囲気にしたい」
・「会議室に絵画を飾りたい」
・「管理職じゃなくてもブース型の席にしたい」
・「仮眠室も設けたい」
・「フリーアドレス制にしたい」
・「カフェスペースを充実してほしい」

すべての要望に耳を傾けることは難しいですが、業者との打ち合わせの際に参考にするのは良いと思います。注意点としては、男性社員だけの声を聞いたり、中堅社員の声だけを聞いたりといったことはしないことです。おしゃれや機能性に関しては、男性と女性で、年代によって変わるものだからです。社員全体の声をまとめることがポイントです。

3.まとめ


オフィスの内装実績が豊富でデザインから施工まで対応してくれる業者であれば最初から全て提案してもらうことも可能です。ですが、事前に工事のポイントや実現したい内装のイメージ・レイアストの全体像を大まかにでも決めておくと業者との打合せもスムーズに進み、仕様がある程度固まった段階で「やっぱりこうしたい、ああしたい」といった出戻りが減ることで工事完了までスケジュール通りに工程が進みやすくなります。
気になるデザインやイメージと合致するオフィスの写真等があれば事前に準備しておき、打合せの際に提示することも大切です。企業理念を内装に取り入れることやオフィスのコンセプトを決めておくと尚良いかと思います。オフィスの内装工事は決めることが多く大変ではありますが、苦労した分工事完了後の達成感は大きくなります。業者とは納得といくまで打合せを進め、是非打合せから工事完了まで楽しんで臨んでほしいと思います。