内装工事とは?仕組みを知れば費用感も分かる!

What is interior work? If you know the mechanism, you can understand the sense of cost!

店舗を開業するために内装工事は欠かせないものです。内装工事は壁紙や床の張替だけでなく、間仕切り壁の作成や家具の造作、電気・ガス・水道等の設備工事など多くの工事項目があります。内装工事の項目と開業までの流れを知ることでやるべきことが明確になり、トラブルなく店舗開業を進められるようになります。
内装工事の費用相場を把握しておくことで業者と金額交渉もしやすくなります。内装工事とは何か理解を深め、店舗開業まで円滑にスケジュールを進めていただければと思います。

■目次
1.内装工事の基礎知識
 1-1.内装工事の設計デザインと施工
 1-2.内装工事に関わる業者
 1-3.内装会社の種類
2.店舗物件選び~内装工事~店舗開業までの流れ
 2-1.店舗物件選び~内装工事~店舗開業までの全体像
 2-2、店舗物件選び~内装工事~店舗開業までにおける各段階のポイントと注意点
3.内装工事の費用
 3-1.内装工事費用の坪単価と相場
 3-2.内装工事費用の支払い条件
4.まとめ

1.内装工事の基礎知識


1-1.内装工事の設計デザインと施工


内装工事は設計デザインと施工の2つに大きく分かれます。設計とは平面図にテーブルや椅子、家具などの物を置く場所を起こすことを指し、内装デザインとは壁や床を始めとした内装のイメージを作成することを指します。施工とは工事のことを指します。設計や内装デザイン案で決められた寸法や使用する部材を元に、職人が現場で店舗づくりを行います。
これらの二つの項目は会社ごとに役割が分かれていることもあり、両者をまとめて行う会社もあります。

1-2.内装工事に関わる業者


冒頭でもお伝えしましたが内装工事には複数の工事が必要になりますので、多くの内装業者が関わることになります。各業者はそれぞれの専門分野を持ち、専門の工事を担当します。
※各業者の仕事内容を表でまとめる。

大工:建築士が作成した設計図をもとに、木材を使って建物の骨組みや壁・床・天井・屋根などの下地を作ります。その他、カウンターや家具の造作も対応します。建物のメインとなる部分を中心に対応し現場に常駐することが多く、実質的な責任者も大工の中から選出されるのが一般的です。

軽天屋:軽天とは軽量鉄骨下地のことを指し、壁や天井の骨組みとなる鉄を指します。壁や天井は軽天の骨組みを格子状に固定した後、ボードと呼ばれる板を張って作られます。スケルトンからの内装工事の場合は軽天屋が壁や天井を作るところから工事が始まり、居抜きの場合も新規に壁を増やす場合には軽天屋が関わることになります。

塗装屋:外壁や内装の壁を塗装します。内装の壁は塗装より壁紙やクロスを張る方が金額を安く抑えられるため主流となりつつありますが、塗装には独特な凹凸や質感を再現できる特徴があります。

左官屋:壁塗りやタイル貼り、レンガ積み、床仕上げなどを専門的とする職人です。建築工事においてコンクリートで固めた壁や床をコテという道具を使用し、平らに仕上げるのが主な仕事です。内装工事においては飲食店で厨房を作る際、ブロックを積んで防水壁を建てる際に登場します。

クロス、壁紙屋:内装の仕上げにて壁や天井にクロス、壁紙を貼ります。クロスの種類や色のバリエーションは年々増えており、居抜き工事でクロスを張り替えるだけでも雰囲気をガラッと変えることができます。

電気屋:居抜きの場合は既存の建物内の電気供給量が増やす作業や照明の取り付けなどを行います。スケルトンからの工事の場合は電気の配線、コンセントやリモコンスイッチの配置、分電盤の設置などを行います。

ガス屋:飲食店で厨房器具を新規で増設したり入れ替えたりする場合に、ガス管の取り外しと取り付けを対応します。店舗で使用する熱機器のガス容量が建物内のガス容量で足りない場合はガスの供給量を増やします。その他、給湯器と取り付けも対応します。

水道屋:居抜きの場合はあまり登場しませんがスケルトンからの工事の場合はトイレや流し場からの排水経路を作ります。美容室や飲食店など水を多く使う店舗では工事の規模が大きくなります。

空調屋:空調と室外機の設置を行います。飲食店の場合は厨房内の空気を外に排出するためのダクトを設置します。特に焼肉店などでは大規模なダクト工事が必要になります。飲食店でも居抜き物件で空調設備をそのまま使用できれば工事費を抑えられます。

防災屋:消火器の設置を始め、緑色に光る誘導灯や火災報知器の取り付けを行います。その他、火災時にボタンを押して警報が鳴る総合盤の設置も行います。居抜き物件であれば既設されている場合がほとんどですが、不備があると開業前に消防署へ申請した際に指摘を受けるため工事が必要です。

1-3.内装会社の種類


一般的に内装会社というと施工管理会社を指す場合が多いです。施工管理会社とは現場での監督をメインに行い、自社で上記の職人を抱えているか取引先として一緒に仕事をしている会社です。依頼すれば窓口1つで内装工事一式の対応が可能となります。
施工管理会社に依頼するより個別の専門業者に発注する方が安くなることもありますが、個別に業者を手配するのは管理が複雑になり現実的ではありません。業者管理はそもそも経験者でないと難しいので施工管理会社に内装工事を依頼することが一般的です。

店舗内装のデザイン設計のみを行う内装会社があります。そのような会社はデザイン会社と呼ばれます。基本的にデザイン会社は内装デザイン設計しかせず、施工は他会社に依頼します。他会社に依頼する際に仲介手数料が発生するため、内装工事費用が高くなる傾向にあります。しかし、内装デザインのクオリティは高いものが期待できるため、予算と相談して依頼することを検討しましょう。

設計デザインから施工までトータルに対応できる内装会社もあります。窓口一つでデザインから施工まで対応してくれるため、デザインと施工全てを新規の内装業者に依頼する場合はこのタイプの内装会社に相談するのがおすすめと言えます。

2.店舗物件選び~内装工事~店舗開業までの流れ


店舗開業までの流れは店舗物件選びから始まり以下の6つのステップに分かれます。
2-1.店舗物件選び~内装工事~店舗開業までの流れの全体像
① 店舗物件選び
  ↓
② 開業日と予算決め
  ↓
③ 内装業者へ見積依頼
  ↓
④ 内装業者の選定
  ↓
⑤ 内装工事開始
  ↓
⑥ 内装工事完了、店舗物件の引き渡し

2-2、店舗物件選び~内装工事~店舗開業までの流れにおける各段階のポイントと注意点


① 店舗物件選び
店舗立地に関してはターゲット層を意識すること大切です。駅から近い等の情報だけでなくオフィス街や学校の近くにあるか確認しておきましょう。物件の周辺を歩いたり近くの喫茶店から周囲の眺めてみたりするのも良いかと思います。

② 開業日と予算決め

店舗の開業予定日をゴールとして定め、内装工事の大まかな内容と予算をイメージしておくと良いです。内装工事の予算は業者から見積を貰ってから立てても良いですが、事前にこれくらいの金額で開業したいという予算の目安を立てておくと工事内容の相談もしやすくなります。

③ 内装業者へ見積依頼

内装業者への見積依頼は二社以上の会社に行うことが一般的です。物件の坪数や店舗のコンセプト、実現したい内装デザイン等を漏れなく伝えましょう。
※物件が正式に決まっていない状態で内装業者に見積依頼をすることも可能ですが、概算でしか金額を貰えなかったり、業者によっては見積を貰えなかったりすることもあります。なるべく物件を正式に決めてから業者に見積依頼する方が正確な内装費用を把握することができます。

④ 内装業者選定

工事内容と金額が確定したら内装業者と正式に契約します。その後、工事内容の詳細やスケジュールを詰めていきます。

⑤ 内装工事開始

内装工事開始後も業者任せにせず現場に足を運ぶことが大切です。内装工事は設計書通りに全て進むとは限らず、内装工事の流れの中で現場で工事内容を調整していくことも多くあります。現場に時々足を運び工事内容が意図しないものとなっていないか確認することでトラブルを防ぐことができます。

⑥ 工事完了、引き渡し

内装工事が終わったら検査(消防署や保健所による)に立ち会いその後に引き渡しとなります。床や壁等に汚れや傷がないか、水道・ガス・電気等の設備面に不具合がないこと、お店の営業に必要なもの全てに問題がないことを確認します。店舗の営業開始後に追加の工事が必要となれば、営業を一時停止することになりお店の売上に影響を与えてしまいます。工事の不十分な箇所がある場合はなるべく引き渡し前に内装業者に指摘し、後から問題が発生しないように注意しましょう。

3.内装工事の費用


3-1.内装工事費用の坪単価と相場
内装工事の金額は坪単価で概算を算出することが一般的です。一坪は約3.3㎡となります
坪単価は業種により異なりますが居抜きで20万~30万/坪、スケルトンで50万~60万/坪が費用相場になります。
30坪の飲食店を開業する場合は居抜きで600万~900万、スケルトンで1500万前後が費用相場と言えます。居抜きで開業する場合、前店舗の設備をそのまま利用できれば内装工事費用が抑えることができ坪単価を低くすることに繋がります。

3-2.内装工事費用の支払い条件


内装工事の支払い条件は以下の2パターンのどちらかが一般的です。
①契約時に1/3、工事開始時に1/3、工事完了時に1/3
②内装工事開始時に1/2、内装工事完了後に1/2
内装工事を始めるにあたり木材や設備機器などの材料費用が必要になるため、契約時もしくは工事開始前に前金を払います。工事完了時には残りの内装工事費用を支払う必要がありますので、金融機関から融資を受ける場合は現金がいつ振り込まれるか確認しましょう。

4.まとめ


初めて店舗を出店する際は店舗物件選びから内装工事までの流れをイメージすることは難しいと思います。ポイントを押さえれば工事を進めるにあたり具体的なイメージがつき、より全体像が見えてくると思います。大切なことは内装業者任せにせずなるべきこちらの要望をきちんと伝えることです。内装工事の内容等で分からないことは内装業者に聞けば教えてくれますので、気になる点があれば積極的に質問するのも良いかと思います。
内装工事の仕組みを理解し、内装業者との打合せから内装工事完了までスムーズに進めて憧れの店舗を開業してください。