飲食店の内装工事費用を公開!スケルトンだと金額は?

Disclosure of restaurant interior construction costs! How much is a skeleton?

飲食店をスケルトンから内装工事する場合にかかる費用は、物販や美容室、クリニックなどの他の業態よりも高額になります。飲食店は厨房の電気・ガス・空調・水道工事といった設備の工事費用が高額になるためです。
工事費用は高くなるものの、スケルトンの状態から店舗を造ることはレイアウトや内装の仕上げ、お店のコンセプトを存分に反映した内装デザインを実現することができます。
スケルトンからの内装工事にかかる費用の相場とポイントを理解していただき、ご自身の理想とする店舗を予算内で開業してください。

■目次
1.スケルトン物件の内装工事費用の相場
 1-1.内装工事における坪単価の説明
 1-2.内装工事費用が変動する要素
2.30坪の飲食店における内装工事の項目の予算金額
3.内装工事費用の予算内に抑える方法
 3-1.設備工事費用を抑えるポイント
 3-2.スケルトンの内装デザイン費用
4.まとめ

1.スケルトン物件の内装工事費用の相場


1-1.内装工事における坪単価の費用相場


飲食店をスケルトンから造る場合の内装工事費用は店舗の種類によって変わります。飲食店の中でも本格的な厨房設備が必要になる中華やイタリアンなどのレストランと、厨房を防水シート等でも対応できるカフェやバーでは工事内容が変わるためです。内装工事の費用は[坪あたり]で計算されることが多いので坪単価でご説明します。(1坪はおよそ3.3㎡になります)

店舗の種類:坪単価の費用相場
カフェ、バー:30~50万/坪
居酒屋 :40~60万/坪
レストラン :50~70万/坪
焼肉店 :60~80万/坪

開業予定の店舗物件の坪数に坪単価の費用相場を掛ける事で予算の目安を立てることができます。例えば、30坪の居酒屋をスケルトンの状態から開業する場合、坪単価を50万と仮定すると内装工事に掛かる目安の予算は、
30坪×50万 = 1,500万円となります。

この予算金額は厨房器具等の費用は含まず内装工事費のみになります。店舗に必要な設備はある程度決まっているため、店舗が広いほど坪単価は下がり店舗が狭いほど坪単価は上がりますのであくまで参考の金額としていただければと思います。

1-2.内装工事の費用が変動する要素


店舗の種類と坪数以外に内装工事の費用金額が変動する要素を4つご紹介します。

1) 厨房の仕上げ

飲食店の厨房はブロックを積んで床上げし、左官工事で防水処理をするのが一般的です。床下部分に厨房器具で使用するガス管や給排水の管を必要があるためです。但し、カフェやバーのように使用する熱機器が多くない場合には厨房を造らなくても防水シートを貼って厨房とするパターンもあります。その場合は内装工事費用を数百万円ほど抑えることが可能です

2) 壁床の仕上げ

壁と床を仕上げる方法として壁紙、塗装、左官の3通りの方法があります。壁紙が最も内装工事費用を安く抑えることができ、壁紙の種類も豊富なため多くの店舗で採用されています。塗装や左官は工事費用が上がるものの、凹凸や色のグラデーションを表現することで独特な雰囲気を演出できます。

3)家具の多さ

店舗に置く家具をどれだけ増やすほど内装工事全体の費用金額が上がります。既製品のものを中心に揃えれば購入費用を安く抑えることも可能ですが、造作でこだわりのある家具を新規で造る場合には費用が上がるので認識しておく必要があります。

4)電気の容量

建物及びテナントに供給されている電気の容量が、店舗で使用する電気の容量より少ない場合は追加の電気工事が必要になります。また、食器洗浄機や大型の冷凍冷蔵庫など動力が必要な厨房器具を使用する場合、建物に動力が供給されていないと更に追加の電気工事が必要になります。物件選びの際に電気容量と動力の有無を確認すると費用を抑えることが可能です。

2.30坪の飲食店における内装工事の項目の予算金額


スケルトンの内装工事の金額を30坪を想定して項目別にご紹介します。工事内容も併せて記載しますので理解を深めていただければと思います。工事内容を知ることで業者との打合せがスムーズになり、内装工事に関するトラブルの発生も防ぐことができます。

1)仮設工事/工事費用:50万~70万

工事を始める前の準備作業と工事中に必要な設備を設置する工事です。養生(仕上がった面に傷をつけないために保護する事)や、仮設電気・仮設水道の設置などが該当します。

2)軽天、ボード工事/工事費用:120万~150万

天井や壁を作る工事です。軽天は軽い鉄で出来た棒状の材料で天井や壁の骨組みになります。軽鉄や軽量鉄骨下地、LGSとも呼ばれます。ボードは軽天に貼る石膏ボードまたはプラスターボードなどを指します。

3)左官工事/工事費用:80万~120万

飲食店の厨房の床をつくる工事です。厨房の床下にはガスコンロやフライヤーなどの厨房機器用の配管を通すスペースが必要になるため、コンクリートブロックを積み上げ防水層から200㎜~300㎜上げて床を作ります。最終的な表面仕上げの塗り工事全般も左官工事に含まれます。コテを使用し、モルタルやプラスターなど水で練った材料で壁・床・天井を仕上げます。

4)防水工事/工事費用:150万前後

飲食店の厨房で階下に漏水しないように防水層を作る工事です。防水層の設置の是非は業者から見積を貰う前に必要かどうか確認してください。

5)木工事/工事費用:50万~80万

木材の加工や組立、取付けを行う工事全般を指します。床を木組みで上げる置床やフローリング張り、木製のカウンターや棚板を作る工事などがあります。木材をどれだけ使用するかで内装工事の費用金額が変わります。

6) 塗装工事/工事費用:50万~150万

液体の塗料を仕上げ材として石膏ボードやカウンターなどを塗装する工事を指します。作業工程としては下地処理を行った後に下塗りを施し、さまざまな塗料で上塗りをして仕上げます。外装は塗装で仕上げるのが一般的ですが、内装は塗装で仕上げる方法とクロスを張る方法があります。

7)内装仕上げ工事/工事費用:70万~100万

天井や壁のクロス貼り、床のシートまたはタイル貼り、仕上げ木板張りなどの工事です。その他、インテリア工事やカーテン取付工事なども含みます。内装デザインにどこまでこだわるか、良質な素材を使用するかどうかで内装工事の費用金額は異なります。

8)建具造作工事/工事費用:80万~150万

入口やトイレ、スタッフルームなどに扉を設置する工事です。建具には木製やメラミンと呼ばれる樹脂板製、アルミ製、鉄製、ガラスなど様々な種類があります。
木製の場合は1㎡あたり2万円程度、鋼製であれば1㎡あたり3万~5万円が費用相場となります。ガラスの場合はものによって価格が大きく上がります。

9)家具造作工事/工事費用:50万~200万

テーブルや椅子、ソファなどを制作し設置します。既製品のものを使用すれば安く済みますが、既製品のサイズが店舗のスペースに合わない場合やオリジナルの家具で店の雰囲気を演出したい場合には必要となる工事です。

10)電気工事/工事費用:150万~200万

照明やスイッチ、コンセントの設置をはじめ、換気扇やエアコンへの電源配線、ブレーカーの設置などの工事が該当します。その他、スピーカーの設置やパソコンに接続するLAN配線等も含まれます。

11)ガス工事/工事費用:100万~130万

厨房機器や給湯器へのガス配管と結び工事です。建物のガスの容量が設置する厨房機器に必要な容量を上回っているかチェックが必要です。

12)給排水工事/工事費用:100万~130万

便器・手洗いの給排水の配管と設置や、厨房機器への給水・給湯・排水の配管などの工事になります。給湯器には強さを示す号数に様々な種類があるので厨房設備に適したものを選ぶ必要があります。

13) 給排気工事/工事費用:200万~250万

換気工事と空調工事に分かれます。換気工事は厨房や店内の換気扇の設置や、天井裏のダクトを配置し屋外に排気する工事などがあります。空調工事は店内のエアコンと室外機の設置、エアコンから室外機まで冷媒管と呼ばれる管を通す工事などがあります。

14)防災工事/工事費用:50万~80万

誘導灯、消火器、感知器の設置工事と、消防署への防災設備の申請が含まれます。飲食店の場合は店舗の図面が完成し設置する厨房機器が決まった後、工事開始前に防災上問題ないか消防署に申請します。

3.スケルトンの内装工事費用の予算内に抑える方法


3-1.設備工事費用を抑えるポイント
物件選びの際に建物に供給されている電気とガスの容量を確認しておけきましょう。供給量が店舗の経営に必要な量であれば追加の設備工事費用が掛からずにすみます。前の店舗がレストランだった居抜き物件であれば設備の供給能力に関して問題ないことが多いですが、カフェやバーであった居抜き物件にレストランを開業する場合は事前に確認が必要です。店舗で使用する厨房機器のガス容量や電気容量を分かる範囲で調べておくことをおすすめします。不安な点があれば内装業者に相談してみるのも良いかと思います。

3-2.スケルトンの内装デザイン費用の予算
内装工事とは別に内装デザインを業者に依頼する場合、内装工事費とは別に100~200万円ほどかかります。内装デザインの費用相場としては工事費の10%~20%が相場と言えます。この場合、内装デザインから内装工事まで一括で対応可能な業者に依頼する方法と、内装デザインと内装工事をそれぞれ別の業者に分けて依頼する方法の二通りがあります。

後者の場合、内装工事全体の費用金額が安く済むことが多いですがデザイン会社と工事会社の間に立って打合せを進めていきます。内装工事の流れを理解し業者との打合せに慣れていないと予期せぬトラブルが発生するリスクが高くなるため注意が必要です。

前者の場合、打合せをする会社が一社で済むため時間をかけずに工事を進め、且つ工事内容の認識のズレを防ぐことができます。また、デザインと内装工事を一括で行う会社は自社のデザイナーと職人で数多くの内装工事をこなしているため、内装デザインをより正確に店舗の内装に反映させることが可能です。予算が限られており内装工事費用を少しでも安くしたいという場合以外はこちらの会社に依頼するのがおすすめです。

4.まとめ


飲食店の内装工事でも本格的な厨房設備が必要になる中華やイタリアンなどのレストランと、厨房を防水シート等でも対応できるカフェやバーでは内装工事の費用金額が変わります。
焼肉店>レストラン>居酒屋>カフェ・バーの順で内装工事費用が高くなることをご認識いただければと思います。
スケルトンからの内装工事にかかる費用の坪単価ですが、店舗に必要な設備は10坪でも50坪でも大きな差がないことがほとんどです。そのため、店舗が狭いほど内装工事全体に占める設備工事の比率が大きくなるため坪単価も高くなります。坪単価はあくまで30坪を基準にした目安として見ていただければと思います。