できるだけ内装工事を抑えて店舗を開業するには居抜き物件を探して内装工事することがおすすめです。また、居抜き物件の前店舗の業種がご自身で開業したい業種と同じであれば既存の設備を流用できることが多く、内装工事のボリュームを抑えて更に費用を安くすることができます。
居抜きの内装工事にかかる費用と内装工事の注意すべきポイントをご紹介します。費用相場を知ることでご自身で開業する際に予算が立てやすくなります。
■目次
１．居抜き物件の内装工事の費用相場と予算
１－１．内装工事の坪単価について
１－２．内装工事費用が変動する要素
２．業種別の内装工事の費用と予算をご紹介
２－１．20坪小売店の内装工事の費用と予算
２－２．20坪マッサージ店の内装工事費用と予算
２－３．20坪エステ店の内装工事の費用と予算
３．予算の決め方
３－１．内装業者に見積を依頼して予算を決める
３－２．資金から内装工事費用の予算を決める
４．まとめ
１．居抜き物件の内装工事の費用相場
１－１．坪単価について
内装工事の費用をおよそ〇百万とお答えすることは難しく、一坪あたりの費用金額を表す”坪単価”で計算されることが一般的です。（1坪は約3.3㎡になります）
店舗の居抜きでの内装工事における坪単価は20～40万円が相場と言えます。一言で店舗と言っても物販店とクリニックでは使用する設備が異なるため差が出ます。また、既存の内装や間仕切り、設備をどれだけそのまま使用できるかによっても内装工事費用は変わります。坪単価はあくまで内装工事費用を予算目安で知るための目安としていただければと思います。
開業予定の物件の坪数に坪単価を掛ける事で大体の予算を立てることができます。例えば20坪の物販店を開業する場合、坪単価を20万と仮定すると内装工事に掛かる予算の目安は、
20坪×20万 = 400万円となります。
１－２．内装工事費用が変動する要素
１） 造作家具を増やす
店舗に置く家具を造作で増やすことでオリジナリティ溢れる雰囲気を演出できますが工事費用が高くなります。既製品を利用することも検討しながら予算を考慮して造作家具について検討していただければと思います。
２） 壁材の種類
壁材には大きく分けてタイル、塗装、クロスの3種類があり、どれを使用するかで内装工事費用が変わります。タイルは最も高額ですがレンガのような凹凸や重厚感のある雰囲気を演出できます。木目調のものや大理石を使用したものなどデザインも豊富に用意されています。塗装は壁をペンキ等で塗ることで独特な色みや質感を表現することができます。クロスは最も安価で店舗の内装で広く使われています。シンプルなものからデザイン性のあるものまで種類もカラーバリエーションも豊富に用意されています。
３） 設備がそのまま使用できるかどうか
電気・ガス・空調等の設備工事が内装仕上げ工事よりも工事費用が高くなりやすいです。そのため、既存の設備がそのまま使用できれば店舗開業に必要なのは内装仕上げ工事のみとなり工事費用を抑えることができます。物件を選ぶ際にしっかりとチェックしていただければと思います。
２．業種別の内装工事費用と予算をご紹介
20坪の広さを想定して物販店、マッサージ店、エステの内装工事費用をご紹介します。
２－１．20坪物販店の内装工事の費用と予算
＜工事内容＞
１）照明以外の設備は既存のものをそのまま使用
２）照明は照度が強めのものに変更
３）壁・床の改装
４）陳列棚とガラスショーケースの造作
→内装工事費用はおよそ500万円
物販店は照度が重要になります。扱う商品にもお店のコンセプトや雰囲気によっても適切な照度が変わってきますので注意が必要です。陳列棚やガラスショーケースは既製品を使用すれば内装工事費用を安くできますが、どうしてもありきたりな店舗の雰囲気になってしまうことも否めません。個性を存分に出すのであれば造作で新規で造るのがおすすめです。 内装デザインは業者とも打合せを進めながら、商品とお店のコンセプトに合うものに仕上げていただければと思います。
２－２．20坪マッサージ店の内装工事の費用と予算
＜工事内容＞
１） 設備は既存のものをそのまま使用
２） 壁・床の改装
３）間仕切りの変更
→300万
マッサージ店は間仕切りを変更するかどうかで工事費用が変わります。間仕切り変更なしでカーテン等を取り付ける方法もあり、壁を新規で造るよりも内装工事費用を抑えることができます。個室としてプライバシーを確保したい場合は費用が膨らみます。
２－３．20坪エステ店の内装工事の費用と予算
＜工事内容＞
１）設備は既存のものをそのまま使用
２）壁・床の改装
３）受付カウンターの造作
→250万
エステの場合はターゲット層を意識した内装デザインにするのがポイントになります。高価格路線であれば大理石を用いたりすると良いかと思います。店舗の立地も考慮しながらお店のコンセプトとターゲット層にマッチするデザインに仕上げていただければと思います。また、内装工事とは別に専用の美容器具を取り揃えるので費用がかかることが多いため予算を確保するために注意が必要です。
３．予算の決め方
内装工事をする上で事前に予算を決めておくことは非常に重要です。事前に予算を決めておくと工事業者としても実現できる内装デザインや工事内容が明確になるため、見積から工事開始、店舗開業までの流れがスムーズになります。逆に予算を決めないまま内装工事の計画を進めると見積段階で工事内容の変更を業者に何度も依頼することになり、多くの時間を費やしていまいます。また、工事開始後に追加工事が必要となった際に対応に時間がかかる場合もあります。
３－１．内装業者に見積を依頼して予算を決める
複数の内装業者に見積を依頼して費用の相場を把握し予算を立てる方法もあります。費用の相場を的確に把握するためには見積項目に過不足がないかチェックする必要があります。見積を見る際は抜けている項目がないか、逆に過剰な項目がないかしっかりと確認してください。項目に過不足があると複数の業者から貰った見積金額を正確に比較できなくなります。内装業者によっては[諸経費]や[一式]とまとめて表現する箇所があります。どこにどれだけ内装工事費用が掛かっているか細かく表現されていない場合は内装業者に質問してみることも大切です。
３－２．資金から内装工事費用の予算を決める
店舗開業のために用意できる資金から予算を決める方法もあります。用意できる資金の8割前後を予算とするのが良いかと思います。内装工事は後から部分的な追加や変更が出てくることが多くあるため、資金ぎりぎりの金額で工事を開始すると追加工事をする際にお金を借りる必要が生じてしまいます。開業予定日までに滞りなく工事を終えられるよう余裕をもった予算を立てるようにしてください。
４．まとめ
居抜きの状態から内装工事をする場合、スケルトンの状態から工事する場合と比較して工事金額も工期も大幅に抑えることができます。20坪店舗の居抜きであれば内装工事費用は300万～500万が相場と言えます。
工期や金額が抑えられるメリットがある一方で注意点もあります。前のテナントの悪いイメージを引き継いでしまったり、内装工事のボリュームを押さえてしまうと前のテナントが店名を変えただけと思われたりしてしまう可能性があります。
前のテナントの活かせる部分は活かしつつ、店舗全体の内装デザインや雰囲気はできるだけ刷新することで、居抜き物件のメリットを最大限に活かして店舗を開業してください。
