クリニックの内装は白を基調としたシンプルなものに仕上げるのが一般的ですが必ずしもそのような内装が良いとは限りません。白を基調とした内装は病院の雰囲気がが強くなり来訪されたお客様を不安に感じさせてしまうこともあります。
SNSやブログで簡単に店舗の情報をアピールできるようになった昨今では、サービスの質だけでなく内装で他のクリニックとの差別化を図り集客するということも簡単且つ効果的となっております。内科や眼科、整形外科などクリニックの科目ごとに客層は異なるため、それぞれの客層に好まれる内装デザインにするだけでも他の店舗にない特色を出すことができます。
クリニックの内装工事のポイントと費用の相場を押さえていただき、予算内で集客の見込める店舗の開業を目指してください。
■目次
1.お客様に好まれる内装工事のポイント
1-1.ターゲット層を意識した内装デザインにする
1-2.受付と待合室は明るめでかつ落ち着いた色合いにする
1-3.トイレは患者の視界から外れる場所に設置する
1-4.待合室は広めに、診察室や処置室は個室にする
2.サービスの質を高める内装工事のポイント
2-1.処置室と診察室は広めにする
2-2.診察室は二室設ける
3. 内装工事の費用相場
4.まとめ
1.お客様に好まれる内装工事のポイント
お客様に好まれる内装工事のポイントを4つご紹介します。
1-1.ターゲット層を意識した内装デザインにする
出店地域の住民属性やターゲットとなる客層に合わせた内装デザインにすることで、他のクリニックと差別化できリピーターの獲得に繋がります。例えば、ビジネス街の近くで仕事帰りのサラリーマンをターゲット層にするならシンプルで落ち着いた青や茶色を基調とした内装が良いかもしれません。女性が多く訪れる皮膚科であれば黄色やオレンジを基調とした内装、住宅街に内科や耳鼻科を構えるのであれば子どもやファミリー層を意識した内装にすると良いと思います。美容外科などでは大理石など石材を用いた内装で高級感を出すほうが好まれる傾向にあります。
1-2.受付と待合室は明るめでかつ落ち着いた色合いにする
受付と待合室はクリニック全体の印象を来訪されたお客様に強く与えるため非常に重要です。冒頭でもお伝えしましたが、白を基調としたシンプルな内装とすると病院の雰囲気が強くなりお客様を不安にさせてしまうこともあります。薄いオレンジや薄い茶色を取り入れた内装にしたり木目調を取り入れたりと、シンプルでありつつも温かみのあるアットホームな空間を意識すると長時間待つ場合でもお客様を安心させることができます。
1-3.トイレは患者の視界から外れる場所に設置する
待合室の近くにトイレが設置されている病院やクリニックも多いですが、トイレが待合室から直接見える場所にあることを不快に感じる方もいます。特に尿検査などにも使う内科は避けた方が良いと思われます。建物の間取りによっては待合室の傍にしか設置できない場合もありますが、極力待っている患者さんの視界から外れるよう配慮することが望ましいと言えます。
1-4.診察室や処置室は個室に、待合室は広めにする
診察室や処置室は個室にすることで衛生的でお客様に安心感を与えることができます。個室にすることが難しい場合はパーテーションで仕切るなどできる限りの工夫をすると良いと思います。待合室はお客様がリラックスできるよう落ち着く内装にすることに加え、広めにすることが大切です。クリニックは体調が優れない方も来訪するため待合室が狭いと衛生的に悪くなり、お客様に圧迫感を与えてしまうため注意が必要です。
2.サービスの質を高める内装工事のポイント
お客様がリラックスできる内装にする他、治療をスムーズに行うための内装を心掛けることも重要です。サービスの質を高める内装のポイントを二つご紹介します。
2-1.処置室と診察室は広めにする
外科などでは特に処置室は手術を行うことも考え広めにすることを推奨します。診察室もベッドで診察することを考慮して幅を確保する必要があります。他にも多機能な医療機器を多く設置するため、処置室と診察室はできるだけ広めにすることで動線を意識した内装にすることができます。
2-2.診察室は二室設ける
クリニックは科目に関係なく診察室が一室のレイアウトが多くなる傾向にありますが、医師一人で開業する場合でも診察室を二室設けることで診療時間と待合室での待機時間を短縮することができます。
お客様に二室同時に入ってもらい一室では看護師による血圧や体温測定を実施し、もう一室では医師による診断および治療を行います。医師の治療が終わればもう一室で待っているお客様のもとに医師が移動して診察をすることで診察時間の短縮が図れます。あるいは、一室は看護師による血圧や体温測定を行うのみの部屋とし、もう一室は医師による診察のみの部屋とすることでも診察時間の短縮が可能です。また、処置室を診察室の近くに設ければ三室を効率良く使用することができ、より一層診察時間を短縮することができます。
診察時間と待ち時間を減らすことは衛生的に良いだけでなく、お客様を安心させ満足度の向上にもつながります。
3. 内装工事の費用相場
内装工事の費用は[坪あたり]で計算されることが多いので坪単価でご説明します。
クリニックの内装工事の坪単価はレントゲン室がある場合とない場合、居抜きかスケルトンかの四パターンに別れます。レントゲン室が必要な内科、外科、整形外科などでは居抜きで坪単価30~50万、スケルトンで坪単価50万~70万が相場となります。レントゲン室が不要な皮膚科や耳鼻科、眼科、心療内科などでは居抜きで坪単価20~30万、スケルトンで坪単価40~50万が相場となります。
入居予定の物件の坪数に坪単価を掛けることで大体の予算を立てることができます。例えば20坪のクリニックを居抜きで検討中の場合、坪単価を40万と仮定すると内装工事に掛かる目安費用は、
20坪×40万 = 800万円となります。
費用の相場は壁や床に高価な素材を使用するなど内装デザインにどこまでこだわるかによって変わります。 また、店舗に必要な設備はある程度決まっているため、坪数が大きいほど坪単価は下がり坪数が小さいほど坪単価は上がります。上記の坪単価は20坪前後の広さを目安としています。検討されている物件の坪数が15坪以下もしくは25坪以上の場合は坪単価が変わることを認識していただければと思います。
4. まとめ
腕の良いお医者さんの元にお客様が集まるのは当然のことですが、内装デザインやクリニックの間取り等でも満足度を向上させることは可能です。昨今では、インターネットでクリニックを検索し内装や外観だけで来訪されるお客様も多いのが実情です。値段だけでなく内装デザインの質にもこだわった店舗づくりを検討してみてはいかがでしょうか。