居抜き物件の内装工事はスケルトン物件と比較して内装工事費用を大幅に抑えることができます。しかし、居抜き物件選びに失敗してしまうと内装工事費用が大きく膨れ上がり、スケルトンよりも内装工事費用が掛かることもあります。事前に注意して見るべきポイントを理解しておけばこのようなトラブルを防ぐことができます。
店舗開業する際にスケルトン物件より内装工事費用を抑えられることができる居抜き物件の方が人気です。但し、居抜き物件で選ぶ際は思わぬ落とし穴があるので注意して選んでください。当記事では、居抜き物件で選ぶ際の注意点をご紹介します。
■目次
1.居抜き物件のガスの容量の確認
1-1.居抜き物件の前店舗の業種とガスメーターの号数を確認する
1-2.居抜き物件のガス容量が足りない場合の対処法
2.居抜き物件の電気の確認
2-1.居抜き物件の動力の確認
2-2.居抜き物件の電気容量の確認
3. 居抜き物件の給排気工事
3-1.居抜き物件の室外機の設置場所
3-2.居抜き物件に換気ルートを確保できるか
4. 居抜き物件のその他の確認
4-1.居抜き物件の不良品・傷等の確認
4-2.居抜き物件の内装制限の確認
4-3.居抜き物件で開業する前の補助の確認
5.まとめ
1.居抜き物件のガス容量の確認
居抜き物件で飲食店の開業を検討している場合、設置予定の厨房機器で使用するガス容量が物件に用意されているガス容量で足りることの確認が必要です。足りていない場合は追加のガス配管工事が必要になり内装工事費用が上がります。もさらに、内装工事期間も一ヵ月以上かかることがあります。その他、居抜き物件のガス容量について押さえておくべきポイントを二点記載します。
1-1.居抜き物件の前店舗の業種とガスメーターの号数を確認する
ガスメーターには号数に合った引込配管が用意されており、ガスメーターの号数が高いほど使用できるガス容量が多くなります。例えば、カフェやバーといった火器を多く使用しない店舗であれば6号メーター、居酒屋やレストランであれば10号メーター、中華料理屋や焼肉屋など火器を多く使用する店舗であれば16号メーターが設置されています。既存のガスメーターの号数と前店舗がどのような業態だったか確認することで、ガスの容量を増やす必要があるかどうか判断することができます。
1-2.居抜き物件のガス容量が足りない場合の対処法
居抜き物件のガスの容量が足りない場合はガス工事で容量を増やすことがベストな対処法ですが別の方法もあります。給湯器の強さを示す号数を下げたり、一部の厨房機器を電気式のものに変えたりすることでガス工事なしでも対応が可能です。内装工事費用は安く抑えたい場合や店舗開業までに日数が限られている場合は検討してみると良いかと思います。
2.居抜き物件の電気の確認
居抜き物件の電気の確認をする必要があります。電気には電力と動力の2種類があります。電力はエアコンや洗濯機、照明などに使われる電気で一般家庭や事務所、店舗で使用されています。動力は主に飲食店や工場などに使用され、業務用冷蔵庫や業務用エアコン、食器洗浄器には動力が必要な場合が多いです。居抜き物件を選ぶ際は動力が必要か、居抜き物件の電気の既存容量が足りるかの二点を必ず確認してください。
2-1.居抜き物件の動力の確認
居抜き物件の前店舗がレストランや中華料理屋などの飲食店であれば動力が通っていると考えて問題ないですが、一般家庭やカフェなどであれば電力しか用意されていない場合があります。動力が必要な機器を使用するかどうかを事前に確認し、使用するのであれば居抜き物件選びの際に建物に動力が引かれていること、居抜き物件の前店舗がどのような業種だったのかを考慮する必要があります。
動力がない居抜き物件に動力を引き込むには内装業者ではなく電力会社が工事を行います。電気設備工事する場合は以下の三ヶ所に引かれている幹線と呼ばれる電気の管を建物に引き直します。
①電柱から建物への引込口(屋根の取付部分)
②引込口から電気メーター
③電気メーターから分電盤まで
追加の電気設備工事をすることで内装工事費用が増えるうえに内装工事期間も伸びてしまいます。動力がない居抜き物件を選ぶ際は慎重に検討しましょう。
2-2.居抜き物件の電気容量の確認
居抜き物件の電気容量を上げる電気設備工事は動力を引く工事と比較すると工事費用も安く工期も短いです。しかし、できるだけ内装工事費用を安く抑えるために動力を必要とする機器を使用するかと併せて、使用する電気の容量についても分かる範囲で事前に確認しておくと良いかと思います。
3.居抜き物件の給排気工事の確認
給排気工事には空調工事と換気工事とがあります。居抜き物件であっても確認が必要なポイントを解説します。
3-1.室外機の設置場所
居抜き物件にエアコンを設置する際は室外機を部屋の外かベランダなどに置ける場合と、屋上に設置しなければならない場合とがあります。屋上に設置するとなるとクレーン等で吊り上げる必要があり工事費用が高くなるため、事前に居抜き物件の室外機の設置場所は確認してください。
3-2.居抜き物件に換気ルートを確保できるか
居抜き物件で店舗を開業する際は、厨房の換気扇や天井裏のダクトを設置し、室内の空気を屋外に排気する工事が必要となります。居抜き物件の既存設備をそのまま使用できれば問題ありませんが、居抜き物件の前店舗が一般家庭やカフェなどだった居抜き物件に飲食店を開業する場合は点検口を覗きダクトを通すスペースが取れることの確認が必要があります。天井の躯体からボードまでのスペースが確保されていないと換気に必要なダクトを設置できず、天井を張り替える必要が生じます。
4.その他の確認
居抜き物件の電気・ガス・給排気の既存設備以外にも居抜き物件を選ぶ際の注意点があります。
4-1.居抜き物件の不良品と傷等の確認
居抜き物件に使用できない家具や厨房機器があると撤去費用が掛かるため余分なものが置かれていないことの確認が必要です。また、壁や扉に破損している箇所があると追加の補修工事が必要になります。内見する時にできるだけ細かい所までチェックし、気になる箇所があれば不動産会社の方に質問しましょう。
4-2.居抜き物件の内装制限の確認
居抜き物件によっては建物のオーナーの意向等で内装工事に制限がある場合があります。開業予定の店舗のイメージをオーナーに確認し、内装工事開始後にトラブルが起こることがないように注意してください。
4-3.居抜き物件で開業する前の補助の確認
一般的に店舗物件の契約日から賃料や設備代がかかりますが、店舗物件によっては開業日までもしくは内装工事開始から何ヶ月か先まで保証金がつく場合もあります。内装工事の費用面でオーナーに相談できる場合もあるので開業前の家賃や設備費用の補助があるかは確認しておくと良いかと思います。
5.まとめ
店舗開業する際に内装工事の費用を安く抑えることができる居抜き物件ですが、注意して居抜き物件を選ばないと内装工事の費用が上がり工期も長くなる恐れがあることをご理解いただけましたでしょうか。
「居抜き物件で開業すれば内装工事費用を安くすることができる」という安易な発想で居抜き物件を選んでしまうと思わぬ追加の内装工事が発生する場合があります。開業する店舗にはどのような設備を設置し、電気やガスの容量はどのくらい必要なのか事前に把握しておきましょう。