居抜き物件の工事費用解剖!坪単価の相場は?坪単価計算方法を徹底解説!

家を建てる際に坪単価という言葉を聞いたことはあるかもしれませんが、内装工事の坪単価と言われるとイメージが沸きにくいかと思います。本記事では内装工事における坪単価の計算方法と内装工事費用の項目について解説します。

■目次
1 坪単価の計算方法
2 店舗開業に必要な内装工事の項目
3 居抜き物件の店舗開業に絶対に必要な内装工事の項目
4 業種別の内装工事の坪単価の相場費用
5 まとめ

1 坪単価の計算方法


一般的に坪単価とは家を建てる際の一坪(約3.3㎡)あたりの建築費のことを指しますが、テナントを借りて店舗開業する場合の坪単価は一坪あたりの内装工事費用のことを指します。坪単価と聞くと難しそうと感じるかもしれませんが、内装工事費用にテナントの坪数を割るだけで簡単に計算することができます。坪単価を計算する際の内装工事費用には、工事費用以外にも内装デザイン設計費用や設備機器の購入費用も含まれます。したがって、初めから店舗内装が施されており設備機器の譲り受けることができる居抜き物件の方が坪単価が低い傾向にあります。具体的に居抜き物件で必要な内装工事の項目をご紹介するとともに、詳しく居抜き物件の坪単価が安くなる理由をご説明します。

2 店舗開業に必要な内装工事の項目


店舗を開業する際は以下の項目の内装工事が必要になります。各項目の工事内容を簡単にご説明します。

1)仮設工事仮設工事とは

工事を行うために一時的に足場を作成したり、テナントの壁や設備などに傷がつかないようにシートを取り付ける工事のことをいいます。

2)解体工事

店舗デザインによっては既存の壁や天井を取り壊す必要があります。解体工事とは壁や天井を取り壊す作業のことをいいます。

3)木工造作工事

木工造作工事とは木材を使用して壁・天井・床・階段を作る大工工事のことをいいます。

4)軽鉄・ボード工事

軽鉄・ボード工事とはLGSと呼ばれる軽量の鋼で壁や天井の骨組みを作り、そこにボードと呼ばれる板を貼る工事のことをいいます。

5)建具工事

建具工事とはドアや窓の作成して取付ける工事のことをいいます。

6)インテリア工事

インテリア工事とはオーダーメイドの家具や造り付け家具を作る工事のことをいいます。

7)内装仕上げ工事

内装仕上げ工事とは壁や天井にクロスを張ったり、床にタイルやフローリングを張る工事のことをいいます。

8)サイン工事

サイン工事とはお店の看板を作る工事のことをいいます。

9)電気設備工事

電気設備工事とは電気使用するための配線工事や設置工事のことをいいます。

10)給排水設備工事

給排水設備工事とは、給排水設備や浄化装置の設置工事のことをいいます。

11)ガス工事

ガス工事とは既設のガス栓を増やしたり、ガス栓を新しいものに取り替える工事のことをいいます。

12)吸排気設備工事

吸排気設備工事とテナントの外気と内気を入れ換えるための設備を設置する工事のことをいいます。

スケルトン物件で店舗開業する場合は上記の内装工事が必要になりますが、居抜き物件の場合はテナントの初期状態や自分で開業したい店舗の業種によって必要な内装工事の項目が変わります。

3 居抜き物件の店舗開業に絶対に必要な内装工事の項目


必要な内装工事の項目を一番少なくする方法は自分が開業したい業種と同じ業種で使用されていた居抜き物件で開業することです。それでも絶対に必要な内装工事の項目はありますのでご紹介します。

1)サイン工事

店舗の看板を前テナントのもので営業する訳にはいきませんので、新しく看板を設置する必要があります。看板にはいくつか種類がありますが、飲食店になりますとファサード看板を設置することが多いです。看板の設置費用は制作費と設置費用を含めて15万円程度になります。

2)内装仕上げ工事

居抜き物件の場合はクロスや床材は付けられていますが、汚れが目立つことが多いので取り替える必要があります。ただし、必ずしも内装業者に依頼する必要がなくDIYすることが可能です。DIYすると内装工事費用を抑えることができるのでおすすめです。

ご紹介した通り居抜き物件で店舗開業する場合は物件の状態で違いはありますが必要な内装工事の項目が少なくなります。特に工事費用が高いガス工事や吸排気設備工事などの設備工事を新しく施工する必要性が低いことで坪単価をかなり引き下げることができます。他にも居抜き物件を借りる際に前テナントの設備機器を安く譲り受けできることが坪単価を引き下げる要因として挙げられます。

4 業種別の内装工事の坪単価の相場費用


坪単価を用いて内装工事費用を予測することができます。

例えば、20坪のテナントにカフェを開業したい場合は

【20坪のカフェの内装工事費用】

カフェの坪単価 約15万 × 20坪 =約300万円

という計算で求めることができます。もちろん、坪単価は店舗デザイン設計費や材質のグレードなどによって変動するので一概には言えませんがある程度の予測することができます。内装工事費用を予測するために業種別の坪単価の相場をご紹介します。

1)飲食店

飲食店の坪単価は店舗開業に必要な設備工事の項目によって大きく左右されます。

【カフェ】
坪単価 約20万円

カフェは他業種と比較して調理する頻度が少ないため大掛かりな設備工事を必要としないので坪単価が安くなります。

【和食店】
坪単価 約40万円

和食店は高級感を醸し出す店舗内装にする必要があるためデザイン設計費が高くなります。

【焼肉店】
坪単価 約80万円

肉を焼く際に煙が発生するため大掛かりな吸排気設備工事の費用が掛かり坪単価が高くなります。

【ベーカリー】
坪単価 約80万円

ベーカリーはオーブンやニーダーなどの専門的な設備機器の購入費用が掛かり坪単価が高くなります。

2)小売店

アパレルや雑貨を扱う小売店の内装工事の坪単価は約20万円程度になります。飲食店とは異なり厨房を作る必要がないため設備工事費用があまり掛からないので坪単価は安くなります。

3)美容系店舗

【エステサロンの坪単価】
一坪あたり約20万円

エステサロンは電気設備工事や水道工事などの設備工事費用があまり掛からないため坪単価が安くなります。しかし、エステサロンはお客様がリラックスできる雰囲気を醸し出す必要があり、クロスや床材のグレード良いものを使用することになりますと坪単価が高くなります。少しでも坪単価が安くするため待合室や施工室などお客様の目に入る部屋だけグレードが良い建材を使用して、事務室や休憩所など従業員が使用する部屋はグレードが低い建材を使用すると良いでしょう。

【美容院の坪単価】
一坪あたり約40万円

美容院の坪単価はエステサロンより高くなります。美容院はお客様の髪をシャンプーしたりドライヤーで乾かしたりするため、水道工事と電気設備工事の設備工事費用が高くなります。また、シャンプー台やドレッサーなどの専門設備が必要になるためエステサロンよりも坪単価が高くなります。最近は美容院をネットで予約することが主流になりつつあります。お客様は予約サイトで店舗の写真を見て予約する美容院を決めるため、お洒落な店舗内装にする必要があります。

業種別の坪単価のご紹介は以上になります。今回、ご紹介した坪単価はあくまで相場であるため、テナントの条件によって変動します。また、ご紹介した坪単価の相場はスケルトン物件で店舗開業した際の相場です。居抜き物件で店舗開業する際の内装工事費用はスケルトン物件で店舗開業する際の2/3程度と考えるとよいでしょう。

5 まとめ


当然ですが業種によって内装工事の坪単価は変わります。坪単価を最も安くする方法は自分が開業したい業種と同じ業種の居抜き物件で店舗開業することです。そうすることによって、最もお金が掛かる設備工事費用を最大限に抑えることができます。なかなか良い居抜き物件がない場合は自分が開業したい業種に近い業種の居抜き物件を選ぶことも良いかと思います。